他職種との連携そして広い視野を持つことの大切さ
リハビリスタッフより、最近の事例と学びを紹介したいと思います。
病院からサービス付き高齢者住宅へ退院となったご利用者さまとのお話です。半身に強い麻痺が残存していますが、ご家族さまの積極的な支援のもと、車椅子を使用して、サービス付き高齢者住宅での生活がスタートしました。まずは、サービス付き高齢者住宅での生活に慣れることを目標として、看護師が週2回 体調管理とシャワー浴介助を、リハビリスタッフが週3回 機能練習と歩行練習を目的に介入することとなりました。
約1か月後、サービス付き高齢者住宅での生活に慣れた頃、ご利用者さまより、
『浴槽に浸かってみたいです。』
と要望がありました。病気になる前は、毎日浴槽に浸かることが習慣でしたが、病院に入院してから現在までシャワー浴のみでした。
今までは看護とリハビリが自身の役割に重点をおき、ご利用者さまと関わってきました。しかし、今回はご利用者さまの希望に沿って相互に連携を取り合い、職種関係なく動作獲得へ向けた介入を行いました。まずは看護師からシャワー浴の環境評価について聴取しました。次に福祉支援事業所と連携し、片麻痺で転倒のリスクが高い方に見合った用具の選定とデモ機の導入を行いました。
その後、リハビリ時に浴槽を使用して動作訓練を行い、看護師とご家族さまへ動作確認と介助指導を反復して行いました。練習時の問題点や福祉用具の使用方法の確認など、他職種でカンファレンスも実施しました。
その結果、現在は週2回 入浴時に安全に浴槽に浸かることができています。
ご利用さまより、
『やっぱり、お風呂に浸かると気持ちがいいですね。』
ご家族さまより、
『浴槽に入るのも体力を使いますね、かなりのリハビリになりますね!』
とお言葉をいただきました。
退院することがゴールではない
と感じた瞬間でした。在宅生活は想像しているよりも難しいことが多いのが現状です。そして、その難しさはそれぞれのご利用者さまで異なります。在宅生活を送っておられるご利用さまとご家族さまは、もしかすると生活の中であきらめていることが沢山あるかもしれません。
しかし、適切な評価のもとアプローチ方法や検討、適切な福祉用具の選定、ご利用者さまとご家族さまのご理解により、元気なときとは動作方法は変わるかもしれませんが、あきらめていたことが可能となることもあると思います。
今回の事例を通して、
他職種と連携する
それぞれの職種が1人のご利用者さまに対して広い視野を持って介入する
ことの大切さを感じました。
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